「葬儀費用の相場っていくらなんだろう…」親が高齢になるにつれて気になるのが葬儀費用ではないでしょうか。この記事では以下のことについてお伝えします。
・葬儀の種類別の平均的な費用
・葬儀代をまかなう4つの方法
・葬儀費用に備える3つの保険
いざというときに備え、家族の今後を考えるきっかけにしていただければ幸いです。
chatこの記事でわかること
ポイント1
葬儀費用を賄える代表的な保険は、終身保険・養老保険・葬儀保険
親の葬儀への備えとして活用できる保険には、終身保険・養老保険・葬儀保険の3つがあります。その中でも知名度の高い終身保険は、死亡保障として保険金が受け取れるものです。養老保険は、満期時と死亡時に保険金が受け取れる保険です。
葬儀保険は、死亡保障に特化した掛け捨ての保険で、死亡時に保険金が受け取れます。親の保険金から葬儀費用を支払う事は可能です。各保険のメリット・デメリットをしっかり把握することが大切です。
ポイント2
親の貯蓄や葬儀の香典で葬儀代を賄うことも可能
葬儀代については、親の貯蓄口座から金銭を引き落とし支払う事ができます。ここで注意すべきは、親の貯蓄口座から現金を引き出す際に相続人全員の同意が必要な点、引き出せる上限金額が決められている点です。
また、生前に自分の葬儀場を決めて会員になっておくと、預り金を入金できるところもあります。その預り金は葬儀代の一部として利用できます。また、葬儀や食事などの費用が会員価格となるので一般価格より安く注文できます。
保険以外で葬儀費用を賄う方法としては、親の相続財産や香典、葬儀場との生前契約から支払う手があります。親の貯蓄の活用方法や葬儀のやり方について事前に話し合っておきましょう。

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親の葬儀にかかる一般的な費用
財団法人日本消費者協会が2016年8月~9月に行った全国の葬儀に関する消費者調査の報告書「第11回 葬儀についてのアンケート調査」(2017年)によると、葬儀費用合計195.7万円という結果がでています。
内訳)
・葬儀費用一式121.4万円、寺院の費用(お経費・戒名・お布施)47万円
・通夜からの飲食接待費30.6万円
※各項目の平均を算出しているため、各項目の合計と「葬儀費用合計」の額は一致しません。
続いて、葬儀の種類別に費用も見ていきましょう。最近では家族葬・直葬・散骨が増えてきています。
葬儀の種類
家族葬
家族と近親者のみで行う家族葬の場合は、費用は一般的な葬儀のほぼ半額の100万円ほどになります。費用は安くなりますが、参列者が限られることから香典も減るため、手元に残るお金は一般的な葬儀とそれほど変わらないかもしれません。
直葬
直葬は、通夜と告別式をおこなわず、火葬場で参列者とお別れをする方法です。費用は、約20万前後になります。
散骨
散骨は、火葬した骨を自然(海が多い)へ撒苦方法です。費用は、約5万~40万円前後となるようです。お墓の維持費の支払いや手入れの必要がなくなります。
どのように葬儀を執り行うのかは、残された家族だけでは決めづらい部分もあるので、生前に親の希望を聞いておくことが大切です。
親の葬儀代を賄う4つの方法
親の死後、親の貯蓄財産から支払う
葬儀費用の支払いは、葬儀後1週間ほどで請求書が届きます。ご自身の資産から葬儀代の支払いをすることが難しい時には、故人の貯蓄から葬儀費用を支払うことが可能です(※相続人のみ可・複数いる場合、相続人全員に要確認)。
故人の貯蓄が銀行にある場合は、死亡診断書を役所に提出すると、数日で銀行が故人の口座を凍結してしまいます。しかし、平成30年7月の民法改正により、遺産分割前であっても、各相続人が葬儀費用の支払いなどを行うためであれば、相続預金の払戻しが受けられるようになりました。払戻しの上限は、150万円となります。
香典から賄う
香典は本来、故人や遺族への弔いと葬式や通夜を金銭的に支援するためのものです。親族以外からの香典の金額は、故人との関係によって変わってきますが、おおよそ3,000円~1万円ほど、香典の総額は平均80万円のようです。
ただし、実際にはおもてなしの料理や香典返し、精進落とし等の費用で、ほとんどお金が残らない場合もあります。香典だけに頼らず、葬儀費用を前もって準備しておいた方がいいでしょう。
生前贈与で賄う
親が亡くなった時、葬儀費用などで困らないように、親が元気な時に資金を受け取っておく方法もあります。
贈与は、年間110万円まで非課税となります。故人から、10年前に90万円、7年前に50万円、5年前に60万円を贈与され総額200万円となった場合、葬儀費用の平均195.7万円を賄うことができます。
ここで注意することは、亡くなる3年以前の贈与は相続税の対象となってしまうことです。生前に贈与する余裕がある場合は、なるべく早めにおこなっておくことをおすすめします。ちなみに、相続税の基礎控除額(※)を超える分を、生前贈与することで相続税対策にもなります。
(※) 相続税の基礎控除額=3,000万円+法定相続人数×600万円
例えば、故人の資産が1億円、相続人が2人の場合、相続基礎控除は4,200万円となり、残りの5,800万円に相続税がかかってしまいます。この課税対象となる資産を、住宅購入や教育費のための贈与の非課税枠など利用して生前贈与することで、課税対象となる資産をあらかじめ子や孫に渡すことができるため、将来の相続税を減額することができます。
子や孫の住宅購入費用として、直系尊属である親または祖父母から一括で贈与を受けた場合、一定の条件を満たしていれば最高3,000万円までが非課税となり贈与税がかかりません。また、同様に直系尊属から30歳未満の子、または孫が教育資金を一括で贈与を受けた場合も、一定の条件を満たしていれば最高1,500万円までが非課税となります。
どちらの制度も、利用する際は事前の申請が必要であったり、非課税となるための条件があったりと、利用する際の手間はかかります。しかし、まとまった金額の贈与が非課税で行えるのは大きなメリットではないでしょうか。
保険金から支払う
故人の死亡保険金から、受取人が葬儀代として支払うことが可能です。しかし、一般的な保険は保険金が支払われるまでに時間を要します。
保険会社へ請求する際に、故人の原戸籍や除籍謄本、受取人の戸籍謄本、印鑑証明書、医師の死亡診断書、入院していた場合は入院証明診断書などを準備して、保険会社へ提出しなければならないからです。では、葬儀費用の準備ができる保険にはどのようなものがあるのでしょうか。次章で詳しくみていきましょう。
葬儀費用として準備できる代表的な3つの保険
葬儀保険
葬儀保険は、葬儀に備えることに特化した少額短期保険(ミニ保険)です。保険期間は一年で、99歳や100歳まで更新できるものも多く、見直しがこまめにできます。掛け捨てタイプのため保険料は比較的低めで、月額2,000円から入れるものもあります。保険金の上限は、死亡保障の場合300万円以下と定められています。
加入できる年齢は幅が広く、89歳の方でも加入できるものもあります。申込み時に健康告知は必要となりますが、医師の診断書や過去の病歴、更新時の健康告知を必要としない保険もあり、審査がやさしく、加入しやすくなっています。
保険金は、請求したら翌営業日までに支払われます。申請時に必要な書類は、おもに除籍の住民票もしくは戸籍謄本、死亡診断書、受取人の身分証明書などです。
一般的な保険金受取時に必要な書類と比べて、かなり用意しやすいので時間をかけずに提出できるかと思います。故人が亡くなってすぐに保険金請求の手続きをすれば、葬儀代の支払いに間に合わせることができるでしょう。ちなみに、保険金は葬儀代以外に使用しても問題ありません。葬儀以外にもなにかと費用がかかるので、その点でも助かりますね。
メリットが多い葬儀保険ですが、デメリットもあります。支払う保険料は、更新ごとに高くなります。また、掛け捨てタイプなので、加入している期間によっては元本割れする可能性もあります。解約返戻金などの払い戻しがないので、老後の生活が無理なく送れる範囲に設定しましょう。
保険契約に関して注意していただきたい点は、保険金の支払い開始が、契約日から1ヵ月後や3ヶ月後に設定されていることです。契約してすぐに支払いが開始されないため、払い忘れをしないように注意しましょう。
保険会社が破綻した場合の保障がないことに注意
葬儀保険については、保険会社が破綻した場合の保障がないことも注意が必要です。生命保険会社は「保険契約者保護機構」に加入しており、保険会社が万が一破綻したとしても「生命保険契約者保護機構」(以下「保護機構」といいます)が資金援助等を行うことにより、保険契約者の保護を図っています。
しかし、葬儀保険を扱う少額短期保険会社は「保険契約者保護機構」の加入対象外のため、破綻しても保護されず、その他の保護機構もありません。加入する少額短期保険業者の経営状況など、亡くなる時までしっかりと会社が存続できるかについて、加入前に下調べをおこないましょう。
終身保険
終身保険では、死亡もしくは高度障害になった時に保険金が支払われます。一生涯の保障が続き、積み立てもできる保険として一般的に広く浸透しています。万が一の際、遺された遺族の生活を守るためだけではなく、相続税の支払いや葬儀費用の支払いに使ってもらうために加入される方もいらっしゃいます。
70歳前後~85歳前後まで加入できるものが多く、保険金額の上限は主に年齢・年収・職業などによって決められ、保険会社によっても変わります。少額短期保険と比較しやすいように、保険金額を300万円と想定すると、保険料は平均5,000円ほどです。終身保険は更新がないので、契約時の保険料を払込満了時まで支払い続けることになります。
保険料の一部は積み立てられるので、途中解約した場合解約返戻金として戻ってきます。保険料払込期間満了後一定期間が経つと、支払った保険料よりも解約返戻金額が多くなるので、長生きするほどお得になります。
なお、解約返戻金を受け取ると一時所得となり、所得税の課税対象になることがあります。たとえば、解約返戻金が100万円の場合、払込み保険料40万円と、一時所得控除の50万円を引いた10万円に2分の1をした、5万円が課税対象となります。
逆に、支払った保険料より少ない返戻金の場合は、課税対象とはなりません。しかし、支払った保険料よりかなり低めの解約返戻金となり、保障も解約時点でなくなってしまいます。途中解約をして元本割れすることは、なるべく避けたいですね。
終身保険の注意点
葬儀費用として使いたい場合、葬儀費用の支払期限までに保険金が間に合わないことがあります。葬儀保険と比べて必要書類が多いので、故人によっては書類を集めることに時間がかかるためです。
保険金を葬儀費用に活用したい場合は、保険料の支払いは無理のない範囲で計画的におこない、請求に必要な書類をあらかじめ調べておいた方がいいでしょう。ただし、必要書類は亡くなってからでないと集められないものや、有効期限があり事前に準備しても使用できなくなる場合があるため、注意しましょう。
養老保険
養老保険は、生命保険の一種です。保障と貯蓄を両立できる内容です。終身保険との違いは、養老保険は保障期間が終了すると保障がなくなり、死亡保険金と満期保険金が同じ金額となる点です。
保険料は比較的高く、途中解約した場合の解約返戻金は、終身保険よりも多く戻ってきますが、元本割れをして損する分も多くなります。なるべく途中解約は避けることをおすすめします。
契約者が受け取る満期保険金は一時所得、または雑所得となります。たとえば、支払った保険料と受け取った満期金の差額が50万円より多い場合、50万円を超えた部分の2分の1の金額が、一時所得の課税対象となります。受取方法を年金払いにした場合は、雑所得の対象となります(20万円以下は対象外)。
契約者=被保険者=親、保険金受取人=子としている保険で、被保険者である親が生前中に満期を迎えた場合は、満期金が贈与税の課税対象となります。(贈与税の基礎控除110万円を超えた分)また、被保険者の親が死亡した場合は相続税の対象となり、生命保険金の非課税枠は500万円×法定相続人の数となります。
なお、支払った保険料は生命保険料控除の対象となるため、一年間に支払いをした保険料に応じて一定額が契約者のその年の所得から差し引かれ、所得税・住民税の負担が軽減されます。このように、保険を活用することで節税対策になる場合もあります。
まとめ
ご家族との最後の大切な時間をゆっくり過ごすためにも、親御さんの葬儀費用について生前からよく相談しておくことが大切ですね。
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