chatこの記事でわかること
ポイント1
税金がかかる「保険金」は、死亡保険金、満期保険金、解約払戻金、個人年金の保険金を覚えておきましょう。
税金の対象となる保険金を受取った際には、納税をしなければいけません。課税対象の保険金として、よく取り上げられるのはこの4種類ですので覚えておきましょう。
税金がいくらかかるのかについては、以下の流れで求めることができます。
1.保険の契約形態から税金の種類を特定
2.課税対象金額を求める
3.税種ごとの税率を参照して算出
ポイント2
税金がかからない「保険金」は、給付金とつくものや、介護保険金、高度障害保険金などが代表的なものです。
入院給付金など、「給付金」と名前につくものは、ほとんどのものが非課税です。複数回保険金が支払われる可能性があるといった特徴があります。
保険金では、介護保険金や高度障害保険金が課税の対象ではありません。間違えて納税しないように注意しましょう。
例外として給付金を受取った被保険者が逝去し、給付金が相続財産になると、その給付金は相続税の対象になります。
また、保険期間中に被保険者が生存していることを条件に受け取ることができる生存給付金も課税の対象なので、例外です。

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保険金の受け取りには税金がかかる可能性あり、課税対象の保険金を解説
死亡保険金
死亡保険金が相続税として扱われるケース
契約形態:契約者と被保険者が同一人物で、受取人が相続人
この場合、死亡保険金は相続税の対象です。
しかし残された家族の生活のための死亡保険金は、なるべく税の負担を少なくできるようになっており、一定の金額まで非課税枠があります。
契約者と被保険者が父で、法定相続人が3人いるケースを例にして考えてみましょう。父の死亡により受け取る死亡保険金は3000万円です。
死亡保険には非課税枠があります。
非課税限度額=「500万円×(法定相続人の数)」
つまり、法定相続人が3人いるケースでは、500万円×3=1500万円までが非課税になるのです。
そして死亡保険金の3000万円から非課税限度額である1500万円を差し引いた金額(1500万円)が相続財産として課税対象になります。
さらに、相続税には基礎控除額があります。基礎控除額は「3000万円+600万円×(法定相続人の数)」で求めることができます。このケースでは、3000万円+600万円×3人=4800万円を課税対象になる相続財産の総額から除くことができます。
生命保険の非課税枠で課税対象となる相続財産1500万円を減らすことができ、さらに基礎控除額は4800万円なので、課税対象となる生命保険金1500万円以外に3300万円を超える相続財産がなければ相続税がかからない、ということになります。
死亡保険金が所得税として扱われるケース
契約形態:契約者と受取人が同一人物で、被保険者が被相続人
この場合、死亡保険金は所得税の対象です。
死亡保険を契約して保険料を払っている人物が、被保険者が死にお金を受け取り、一時所得とみなされるためです。
契約者と受取人が母で被保険者が父、死亡保険金が3000万円、支払った保険料の合計金額が500万円のケースを例にして考えてみましょう。
まず一時所得がいくらになるかを計算しなければいけません。
「一時所得=(保険金-払込保険料)-(特別控除50万円)」
死亡保険金で得た金額が3000万円であり、ここから、「支払った保険料の合計金額500万円」、「特別控除の50万円」を差し引き、一時所得は、2450万円となります。
この2450万円に1/2をかけたもの(1225万円)が総所得金額になります。そこから所得控除額があれば控除をし、課税総所得金額を算出します。
課税総所得金額に応じた税率を参照して所得税の金額を求めます。所得税は、「課税総所得金額×税率-控除額=所得税」で求めることができます。
このケースの課税総所得金額は1225万円、税率は33%、控除額は1,536,000円なので所得税は「1225万円×33%-1,536,000円=2,506,500円」となります。
死亡保険金が贈与税として扱われるケース
契約形態:契約者、被保険者、受取人、すべてが違う人物
この場合、贈与税が課税されることになります。
契約者が積み立ててきた保険料が、被相続人が死亡することで保険金となり、それを別の人が受け取るので契約者が受取人に贈与している、とみなされるからです。
契約者が母、被保険者が父、受取人がその子供、死亡保険金が3000万円のケースを例にして計算してみましょう。
贈与税を求めるにはまず、贈与税の対象となる金額を求めます。
贈与税の対象となる金額=(贈与額)-(基礎控除の110万円)
この場合、3000万円-110万円=2890万円が贈与税の課税対象です。
次に、贈与税率を参照して贈与税を求めるのですが、贈与税は一般贈与財産と特例贈与財産のどちらかによって課税率が変わり、特例贈与財産の方が贈与税の課税率が低くなります。
特例贈与財産としてみなされるには贈与の対象となる受取人を、贈与する人物(死亡保険の場合、契約者)から見てその年の一月一日の時点で20歳以上になっている子や孫に設定しなければいけません。
つまり贈与する人間は受取人から見て親や祖父母などの直系尊属でなければいけないことになります。
今回のケースの場合は、親から子どもへの贈与となりますので「特例贈与財産」となり、以下の計算式で贈与税額が算出されます。
特例贈与財産の税率を参照し、2890万円×45%-265万円=1035万円
これ以外のケース、例えば兄弟間の贈与などはすべて一般贈与財産として課税されることになります。
今回の例が兄から弟への贈与であった場合は、以下の計算式で贈与税額が算出されます。
一般贈与財産の税率を参照し、2890万円×50%-250万円=1195万円
満期保険金
ポイント:満期保険金は「所得税」「贈与税」のいずれかがかかる
満期保険金にどのような税金がかかるかは死亡保険金と同様に、「契約者(保険会社と契約してお金を払っている人)」と「受取人(お金を受け取る人)」の関係性を調べることですぐに判断することができます。
所得税として課税されるのは、「契約者と受取人が同一人物」の場合そして、贈与税として課税されるのは、「契約者と受取人が別々の人物」の場合となります。
例として、養老保険の満期を迎えようとしているケースを例にして考えてみましょう。
このケースは契約者と受取人が同じで、満期保険金として一括で600万円受取ることができ、今までに500万円を保険料として支払っています。この場合保険金は一時所得として分類されます。
それでは、税金がいくらになるか計算してみましょう。計算方法は先ほど求めた一時所得と同じ方法です。
一時所得=(保険金-払込保険料)-50万円
今回得た金額は600万円でこれを得るために払った金額は500万円です。なので100万円から特別控除額の50万円を差し引いた50万円を1/2した25万円が、総所得金額になります。
ここから所得控除があれば控除し、課税総所得金額に税率の5%をかけた25万円×5%=1万2500円が税金額になります。
解約払戻金
ポイント:解約払戻金も「所得税」「贈与税」いずれかの対象、考え方は満期保険金と同様
解約払戻金と満期保険金の税金の種類についての考え方は全く同じ。契約者と保険金の受取人が同一人物であれば所得税ですが、違えば贈与税の対象となります。
以下のように考えるとイメージがつきやすいです。
「契約者=お金を支払った人」
「受取人=お金を受取った人」
自分のお金を自分で受取る⇒所得
他人のお金を自分が受取る⇒贈与
個人年金保険の保険金
ポイント:個人年金保険の保険金も「所得税」「贈与税」の対象だが、贈与税は初年度のみである
個人年金保険の保険金にかかる税金も、満期保険金や解約払戻金と考え方や契約形態によってかかる税金の種類は一緒ですが、大きく違う点が一つあります。それば贈与税がかかる場合です。
契約者と受取人が異なる場合は、受取人が契約者から年金を受け取る権利を贈与されたとみなされ、贈与税が発生します。なお、個人年金の保険金に対する贈与税は年金を受け取る初年度のみにかかり、2年目以降は贈与税の課税はありません。
2年目以降は所得税が対象となりますが、初年度で既に税金を支払っている部分においては、課税対象にはなりません。
以上が満期保険金や解約払戻金とは大きく異なりますので注意しましょう。
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保険金にかかる税金の求め方まとめ
これまで具体例を用いて保険金にかかる税金を求めてきましたが、保険金にかかる税金の求め方のおおまかな流れは共通しています。この段落では、これまでに出てきた「相続税」「所得税」「贈与税」の求め方を整理してまとめています。
税金の種類を特定
ポイント:保険の「契約者」「被保険者」「受取人」の3つだけわかれば税金の種類は特定できる
まずは、保険金にかかる税金の種類を見極めます。誰がお金を支払い、誰がお金を受取ったか、に注目し、税金の種類を特定しましょう。
課税対象額の算出
ポイント:受け取った保険金額から控除金額を差し引く
保険金の受取には非課税枠が設けられていることがあります。例えば、被相続人の死亡によって相続人(相続を放棄した人や失った人は含まれません)が取得した生命保険金には、「相続人×500万円」という非課税枠が設けられています。
贈与税も同様に、1年間にもらった財産の合計額から基礎控除の110万円を差し引いた残りの額に対してかかります。
所得税(一時所得)には特別控除額50万円が設けられています。所得の種類に応じて控除される金額も違うので、ご自分がどのケースに当てはまるのかを確認して計算していきましょう。
税率の参照
ポイント:課税対象金額(課税される遺産の総額、または課税総所得金額)×税率=算出税額
課税総所得金額を求め税率をかけ、算出税額から税額控除額等があれば控除すると、納付すべき税額が求められます。
相続税の速算表
課税価格 |
税率 |
控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 |
10% |
ー |
1,000万円超 3,000万円以下 |
15% |
50万円 |
3,000万円超 5,000万円以下 |
20% |
200万円 |
5,000万円超 1億円以下 |
30% |
700万円 |
1億円超 2億円以下 |
40% |
1,700万円 |
2億円超 3億円以下 |
45% |
2,700万円 |
3億円超 6億円以下 |
50% |
4,200万円 |
6億円超 |
55% |
7,200万円 |
所得税の速算表
課税価格 |
税率 |
控除額 |
---|---|---|
195万円以下 |
5% |
0円 |
195万円超 330万円以下 |
10% |
97,500円 |
330万円超 695万円以下 |
20% |
427,500円 |
695万円超 900万円以下 |
23% |
636,000円 |
900万円超 1,800万円以下 |
33% |
1,536,000円 |
1,800万円超 4,000万円以下 |
40% |
2,796,000円 |
4,000万円超 |
45% |
4,796,000円 |
贈与税の速算表
課税価格 |
税率 |
控除額 |
---|---|---|
200万円以下 |
10% |
– |
200万円超 300万円以下 |
15% |
10万円 |
300万円超 400万円以下 |
20% |
25万円 |
400万円超 600万円以下 |
30% |
65万円 |
600万円超 1,000万円以下 |
40% |
125万円 |
1,000万円超 1,500万円以下 |
45% |
175万円 |
1,500万円超 3,000万円以下 |
50% |
250万円 |
3,000万円超 |
55% |
400万円 |
税金がかからない保険金
税金がかからない保険金の例
ポイント:給付金という名前がつく保険金にはほとんど税金がかからない
税金がかからない保険金の例
・入院給付金
・手術給付金
・通院給付金・疾病(災害)療養給付金
・障害保険金(給付金)
・特定損傷給付金
・がん診断給付金
・特定疾病(三大疾病)保険金
・先進医療給付金
・高度障害保険金(給付金)
・リビング・ニーズ特約保険金
・介護保険金(一時金・年金)
このように、治療費や医療費など実際に発生した費用を補う性質の給付金には課税されません。
給付金とは
ポイント:入院給付金や手術給付金など複数回支払われる可能性のあるもの
生命保険から支払われるものには、「保険金」と「給付金」があります。それぞれの特徴を以下簡単にまとめました。
・保険金…死亡保険金や満期保険金など主たる保障で1回のみ支払われるもの
・給付金…入院給付金や手術給付金など複数回支払われる可能性のあるもの
給付金のほとんどは課税の対象になりませんが、一部例外もありますので注意してください。
例外)課税対象となる給付金
ポイント:給付金を受け取った被保険者がなくなった場合や、生存給付金のような満期保険金の受取に近い仕組みのものは課税対象となる
給付金と名がつくものは課税対象にならないものが多いですが、例外的に課税対象になるものもあります。ここでは2つ紹介します。
1つめは、給付金を受取った被保険者が逝去し給付金が相続財産になった場合です。この場合は受け取った給付金が相続財産としてみなされ、相続税の課税対象になります。
2つめは、保険期間中に被保険者が生存していることを条件に受け取ることができる生存給付金です。
生存給付金の受取は、満期保険金の受取と近いイメージなので理解しやすいのではないでしょうか。
まとめ
税金がかかる保険金について、契約形態の把握方法や、計算のしかたを説明してきました。保険金にかかる税金の計算は複雑で分かりにくい場合があります。
保険金のことで不安や疑問があれば、まずはプロの方に相談をしてみてはいかがでしょうか。

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