閉じる

TOP コラム 生命保険の死亡保険金にかかる相続税の計算方法【3ステップで優しく解説】

生命保険の死亡保険金にかかる相続税の計算方法【3ステップで優しく解説】

chatこの記事で分かること

ポイント1

相続税の計算は、【課税価格合計⇒相続税の総額⇒相続人それぞれの納付税額】の3ステップで求めることができる。

相続税の計算は、税額控除があったり、保険金の受取人次第で税額が変わったりするため、一見すると複雑です。

しかし、重要なのは計算の順番だけで、ひとつひとつの計算は難しくありません。

1 相続財産から控除費用や控除額、生命保険の非課税限度額を差し引いた「課税価格の合計」
2 課税価格合計から基礎控除額を差し引いて、相続人それぞれの相続税の税率を参照した「相続税の総額」
3 相続税の総額を分配し、相続人それぞれに適用される控除額を参照して算出

ここでは、相続税の計算方法と生命保険を相続税の節税に用いる方法について解説していきます。

相続や保険について
お悩みならプロに無料相談!
保険や相続はプロフェッショナルに相談しましょう!
当サイト紹介のファイナンシャルプランナーはお金のプロです。老後資金の悩みをスムーズに解決することをお約束します。
※プロフェッショナルは当サイトからご紹介するファイナンシャルプランナーです。

お電話でのお問い合わせphone0120-96-4826受付時間 平日土日祝 9:30~18:00arrow_right

emailお問合せarrow_right

相続税の計算方法のおおまかな流れと生命保険を相続対策に用いる方法

相続税の計算は大きく分けて3段階ある

ポイント:順を追って計算していくとわかりやすい

相続税の計算って、いろいろなお金を足したり引いたり、分けたりして難しそうですよね。

実は、相続税の計算は、相続人それぞれが取得した財産から直接、その人が負担すべき税金を計算しているわけではありません。

まず、課税価格の合計を算出し、次に相続税の総額を計算します。そして、それを相続人それぞれが実際取得する財産に応じて配分するという仕組みになっています。この仕組みをしらないと、相続税の計算はとても複雑と感じるかもしれません。

実際の相続税の計算は、大きく分けて3つのステップからなっています。

相続税計算の3ステップ

1 課税価格の合計額の計算
2 相続税の総額の計算
3 相続人それぞれの納付税額の計算

この3ステップを順に追っていくと、難しく感じた相続税の計算もしっかり理解することができるでしょう。

それぞれの段階での計算方法や具体例を詳しく解説していきます。

生命保険金の受け取りが相続税の対象となる場合

ポイント:生命保険を相続対策に利用する場合は「契約者=被保険者」に

相続はいろいろな財産が対象になりますが、その中でも大きなポイントになるのが生命保険です。

生命保険はその契約形態により、受け取った保険金に「相続税」「所得税」「贈与税」のいずれかがかかってきます。

生命保険金が相続として扱われれば、税金対策にもなり、また相続争いの回避にもつながります。

しかし、契約方法を間違ってしまうと相続扱いとならない場合があるので、ここで一度確認しておきましょう。

生命保険で受け取るお金が相続税の対象となるのは、契約者(保険料を支払う人)と被保険者が同一である場合です。

そのため、以下の例ではすべて「契約者=被保険者」となるように生命保険に加入しているものとします。

▽生命保険金にかかる税金の種類について詳しく知りたい方はこちらから

死亡保険金の受取には相続税がかかる?確認すべき2つのポイント

課税価格の合計額を計算してみよう

相続税の対象となるもの

ポイント:生命保険の死亡保険金は、みなし相続財産として相続税の対象となる

相続税の計算をするためには、初めに、亡くなった人の財産を把握して評価し、相続税の対象となる正味財産の金額(これを課税価格という)を確定する必要があります。

相続する財産は価値がプラスのものばかりではありません。債務などのマイナスの財産もまとめて相続しなければなりません。

プラスの財産には、大きく分けて「本来の相続財産」と「みなし相続財産」の2つがあります。

本来の相続財産とは、民法の規定に従って相続などにより取得する財産のことです。預貯金などの金銭のほか、土地、建物、有価証券、家庭用動産など金銭に換金できる経済的価値のあるものをいいます。

みなし相続財産とは、本来の相続財産ではありませんが、被相続人の死亡に起因して相続人が受け取った財産のことをいいます。本来の相続財産を相続する場合と同様な経済効果が得られるため、みなし相続財産として課税の対象にされています。具体的には生命保険契約の死亡保険金や死亡退職金などがあります。

一方、マイナスの財産には債務や葬式費用などがあります。

▽相続財産について詳しく知りたい方はこちらから

生命保険金はみなし相続財産になる。間違いやすい相続財産を5分で解説

非課税財産とは

ポイント:実際に相続した金額から除いて計算して良いお金がある

相続税の計算においては、原則として取得した財産すべてが課税の対象となります。しかし、その中でも社会政策的見地や国民感情などから相続税の対象とすることが適当でないものについては、「非課税財産」として相続財産から除くこととされています。

主な非課税財産は以下の通りです。

・仏壇、仏具、墓地、墓石など
・死亡保険金のうち非課税限度額までの金額
・死亡退職金、功労金のうち非課税限度額までの金額
・弔慰金のうち非課税限度額までの金額
・国、地方公共団体などへ寄附した一定の要件を満たす財産

この他の非課税財産にあたるものは、こちら
国税庁/No.4108 相続税がかからない財産平成31年4月1日現在法令等)から確認してください。

プラスの財産とマイナスの財産の合計から、この非課税財産をさらに除くことで、実際に相続税の対象となる課税価格が計算されます。

つぎに、相続により財産を取得した人ごとにこの課税価格を計算し、相続人それぞれの課税価格の合計額を求めます。この「相続人それぞれの課税価格」や「課税価格の合計額」は3つ目のステップである相続人それぞれの納付税額の計算でも使用します。

節税対策としての生命保険

ポイント:生命保険の非課税限度額=500万円×法定相続人の数

先ほど挙げた非課税財産の中に「死亡保険金の非課税限度額までの金額」というものがありました。

生命保険には、遺された家族の生活保障という役割があるため、受け取る人の税負担を抑えられるようになっているのです。

具体的な計算方法は以下のようになっています。

非課税限度額=500万円×法定相続人の数

例えば夫婦と子ども2人の家庭の場合を考えてみましょう。夫が亡くなったとき、法定相続人は妻と子ども2人の計3人になります。

夫が生命保険に加入していた場合の死亡保険金に対する非課税限度額は以下となります。

非課税限度額:500万円×3人=1500万円

従って、死亡保険金が1500万円以下の場合は非課税限度額を超える分がないので、相続税はかかってきません。

仮に、死亡保険金が2000万円だった場合は、非課税限度額を超える500万円だけが相続税の対象となります。この場合でも預貯金として2000万円を遺すよりも、課税対象額が1500万円も少なくなるので生命保険に加入していた方が節税効果が高いということがわかります。

相続税の総額を計算してみよう

相続税の基礎控除額

ポイント:基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の数

相続税には基礎控除があります。基礎控除額は、ここまでは相続税がかかりませんという上限の金額です。計算方法は以下のようになります。

基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の数

1つ目のステップで求めた課税価格の合計のうち、この基礎控除額を超えた分にだけ相続税がかかってきます。基礎控除額を超える部分を「課税遺産総額」といい、続く相続税の計算に用いることになります。

相続税がかからない場合

ポイント:基礎控除額を超えなければ相続税の心配はない

前述したように課税価格の合計が基礎控除額を超えない場合は、相続税がかからないと言うことがわかりました。

ここでは、実際に計算して、相続税がかからない場合についてみてみましょう。

夫婦と子ども2人の家庭で、先ほどのように夫が亡くなったとします。

基礎控除額:3000万円+600万円×3人=4800万円

1 夫の遺産が4000万円の不動産だけの場合
基礎控除額4800万円を下回るので相続税はかからない。

2 夫の遺産が4000万円の不動産と2000万円の預貯金の場合
課税価格の合計:4000万円+2000万円=6000万円
となり、基礎控除額を上回る分の1200万円に相続税がかかる。

3 夫の遺産が4000万円の不動産と2000万円の死亡保険金の場合
生命保険の非課税限度額(1500万円)を利用すると、
課税価格の合計:4000万円+(2000万円-1500万円)=4500万円
となり、基礎控除額を下回るので相続税がかからない。

相続税の総額の計算方法

ポイント:法定相続分に応じて分けたときの税金の総額を一旦求める

次に、先ほど説明した課税遺産総額をもとに相続税の総額を計算していきましょう。相続税の総額の計算順序は以下のようになります。

①課税遺産総額を法定相続人が法定相続分通りに分けたものとして、各相続人の取得金額を計算する。

② 各相続人の法定相続分に応じた取得金額に税率をかけて相続税を計算する。

③で求めた各相続人の税額を合計して「相続税の総額」を計算する。

具体的な金額を用いて計算してみましょう。

夫婦と子ども2人の家庭で夫が死亡。夫の遺した財産のうち、課税価格の合計は8000万円だったとします。基礎控除額は、3000万円+600万円×3人=4800万円です。

①まず法定続人である妻と子ども2人に法定相続分通りに課税遺産総額を分けたとします。
課税遺産総額:8000万円-4800万円=3200万円

妻 :3200万円×1/2=1600万円
子1:3200万円×1/2/×1/2=800万円
子2:3200万円×1/2/×1/2=800万円

②それぞれの金額に対して税率をかけて相続税を計算します。

妻 :1600万円×15%※-50万円※=190万円
子1:800万円×10%※=80万円
子1:800万円×10%※=80万円

※相続税の税率は取得する金額が多いほど税率も高くなる、超過累進税率という仕組みをとっています。

相続税の速算表

課税価格

税率

控除額

1,000万円以下

10%

1,000万円超 3,000万円以下

15%

50万円

3,000万円超 5,000万円以下

20%

200万円

5,000万円超 1億円以下

30%

700万円

1億円超 2億円以下

40%

1,700万円

2億円超 3億円以下

45%

2,700万円

3億円超 6億円以下

50%

4,200万円

6億円超

55%

7,200万円

③ ②で計算したそれぞれの税額を合計すると、

190万円+80万円+80万円=350万円

以上がこの場合の相続税の総額となります。

各相続人の納付税額を計算してみよう

各相続人の算出相続税額を求める

ポイント:実際に取得した財産の割合は基礎控除額を差し引く前の課税価格で計算する

実際の遺産分割は必ずしも法定相続分どおりではありません。ステップ3では、それぞれが実際に取得した財産の割合に応じた算出相続税額を計算していきます。

各相続人の算出相続税額は、その人が実際に取得した財産の課税価格が、財産を取得した人全員の課税価格の合計額に占める割合を、ステップ2で計算した相続税の総額にかけることで計算します。

先ほどの例で、課税遺産総額の8000万円を実際は、妻5000万円、子1:2000万円、子2:1000万円と受け取っていたとします。このときの、それぞれの算出相続税額は以下のようになります。

妻 :350万円×(5000万円/8000万円)=218.75万円
子1:350万円×(2000万円/8000万円)=87.5万円
子2:350万円×(1000万円/8000万円)=43.75万円

相続税の税額調整

ポイント:配偶者には大きな税額軽減がある

ステップ1~3を経た後に、財産を取得した相続人それぞれの事情に応じた税額調整をおこない、相続人それぞれが納付すべき税額を計算します。

相続税の計算上、税額から控除できるものは7種類あり、次の順番で控除されます。

1 暦年課税分の贈与税額控除
2 配偶者の税額軽減
3 未成年者控除
4 障害者控除
5 相次相続控除
6 外国税額控除
7 相続時精算課税分の贈与税額控除

この中で、実際の相続の現場で最も関わってくるのは「②配偶者の税額軽減」です。これは、配偶者は被相続人の財産形成に寄与していると考えられること、また相続後の生活保障を考慮して設けられている措置です。

配偶者の税額軽減額は、具体的には次の式により計算されます。

税額軽減額=相続税の総額×(1または2のいずれか大きい方の金額/課税価格の合計額)

1 課税価格の合計額×配偶者の法定相続分
2 1億6000万円

計算式だと今ひとつわかりにくいので、配偶者は法定相続分まで財産を取得しても相続税がかからず、法定相続分を超えて取得した場合でも1億6000万円以下であれば相続税がかからないと覚えておいてください。

この配偶者控除により、4-1で計算した例では、子どもがいずれも成人していたとすると、実際の納付税額は以下のとおりです。

妻 :配偶者控除により0円
子1:87.5万円
子2:43.75万円

生命保険の一番節税効果が高い受取人の設定

ポイント:受取人の設定は子どもが一番節税効果が高い

4-2で説明したように、納付額の計算の最終段階で登場する配偶者の税額軽減は大変大きな額となります。したがって、非課税枠のある死亡保険金の受取人は、子どもにする場合に一番節税効果が高くなります。

実際に例を挙げてみてみましょう。

モデルとなるのはこれまでと同じ夫婦と子ども2人のケースとします。夫が死亡し、遺した財産は8000万円です。

①残された財産がすべて預貯金だった場合

課税価格の合計:8,000万円
基礎控除額:3,000万円+600万円×3=4,800万円
課税遺産総額:課税価格の合計-基礎控除額=8,000万円-4,800万円=3,200万円
⇒法定相続分通りに分配した場合の相続税

妻 :取得金額(3,200万円×1/2)×15%-50万円=190万円
子1:取得金額(3,200万円×1/2×1/2)×10%=80万円
子2:取得金額(3,200万円×1/2×1/2)×10%=80万円
相続税の総額:350万円

実際の財産の配分が以下の場合

預貯金 課税価格の合計
5000万円 5000万円
子1 2000万円 2000万円
子2 1000万円 1000万円

この場合の納付税額は以下のとおりです。
妻 :350万円×(5000万円/8000万円)=218.75万円 ⇒配偶者の税額軽減により0円
子1:350万円×(2000万円/8000万円)=87.5万円
子2:350万円×(1000万円/8000万円)=43.75万円

合計131.25万円

②残された財産が預貯金5000万円、生命保険金3000万円、生命保険の受取人が妻である場合

生命保険の非課税枠:500万円×3=1500万円
課税価格の合計:5000万円+(3000万円-1500万円)=6,500万円
基礎控除額:3,000万円+600万円×3=4,800万円
課税遺産総額:課税価格の合計(6,500万円)-基礎控除額(4,800万円)=1,700万円
⇒法定相続分通りに分配した場合の相続税

配偶者:取得金額(1,700万円×1/2)×10%=85万円
子1:取得金額(1,700万円×1/2×1/2)×10%=42.5万円
子2:取得金額(1,700万円×1/2×1/2)×10%=42.5万円
相続税の総額:170万円

実際の財産の配分が以下の場合

預貯金 生命保険金 課税価格の合計
2000万円 3000万円 3500万円
子1 2000万円 0 2000万円
子2 1000万円 0 1000万円

生命保険金の受け取りが相続税の対象となる場合、非課税枠が存在するという説明はしましたね。この非課税枠は、実際に受け取った生命保険金の割合に応じた額をそれぞれの課税価格の合計を求める際に使用することができます。

妻が保険金の受取人になっている場合、非課税枠の1500万円もすべて妻が使用することになるので、それぞれの課税価格の合計は表のようになります。

ここからそれぞれの納付額を計算します。
妻 :170万円×(3500万円/6500万円)=91.54万円⇒配偶者の税額軽減により0円
子1:170万円×(2000万円/6500万円)=52.31万円
子2:170万円×(1000万円/6500万円)=26.15万円

合計78.46万円

③残された財産が預貯金5000万円、生命保険金3000万円、生命保険の受取人が子どもの場合

相続税の総額は②と一緒ですね。財産の配分は以下の通りとします。

預貯金 生命保険金 課税価格の合計
5000万円 0 5000万円
子1 0 2000万円 1000万円
子2 0 1000万円 500万円

子ども2人で表のような割合で生命保険金を受け取ったとします。この場合それぞれが使える非課税枠は以下のとおりです。
子1:1500万円×(2000万円/3000万円)=1000万円
子2:1500万円×(1000万円/3000万円)=500万円
したがって、それぞれの課税価格の合計は表のようになります。

ここからそれぞれの納付額を計算します。
妻 :170万円×(5000万円/6500万円)=130.77万円⇒配偶者控除により0円
子1:170万円×(1000万円/6500万円)=26.15万円
子2:170万円×(500万円/6500万円)=13.08万円

合計39.23万円

いかがでしょうか。

1.すべて預貯金で残している場合
2.生命保険に加入していて受取人が妻である場合
3.生命保険に加入していて受取人が子どもである場合

いずれの場合も実際にそれぞれが相続する金額は同じです。
しかし1~3の順に納税額が小さくなりますので、手元に残る金額は増えることになるのです。

実際の例をみていただいて、生命保険による節税効果を感じてもらえたでしょうか。

まとめ

相続税はその計算の仕組みを理解し、順を追って計算していけばさほど難しいものではありません。

実際に相続税を計算することで、生命保険の利用が相続税の節約にもなることがおわかりいただけたと思います。

実際の相続は今回の例のように単純でないこともあると思います。相続税対策に生命保険の加入をお考えの方は、ぜひ、当サイトからご相談ください。

相続や保険について
お悩みならプロに無料相談!
保険や相続はプロフェッショナルに相談しましょう!
当サイト紹介のファイナンシャルプランナーはお金のプロです。老後資金の悩みをスムーズに解決することをお約束します。
※プロフェッショナルは当サイトからご紹介するファイナンシャルプランナーです。

お電話でのお問い合わせphone0120-96-4826受付時間 平日土日祝 9:30~18:00arrow_right

emailお問合せarrow_right

相続や保険のことならお任せ