chatこの記事で分かること
ポイント1
相続を放棄しても生命保険金は受け取ることができます!
ただし、受け取るために必要な条件があるので必ず確認しましょう。
・生命保険金の受取人がご自身に設定されている
・生命保険金の被保険者と契約者がともに故人である
という2点が必要です。
ポイント2
相続放棄をすると、受け取る生命保険金の非課税枠は使えない!
税額計算のポイントまとめ
相続放棄をすると、相続税の計算方法は非常に複雑になります。相続放棄があった場合の生命保険金の分配には以下のルールが適用されます。
1.相続放棄をした人は非課税の利用ができない
2.非課税枠は相続放棄をした人も含めて計算する。
3.相続放棄をしなかった人でその枠を分け合う
4.相続税の基礎控除額については相続放棄をした人も含めて計算する

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相続放棄をしても生命保険金の受取は可能
相続放棄をしても生命保険金を受け取ることができる理由
ポイント:生命保険金は受け取る人の資産扱いになることが理由
相続放棄をしても生命保険金を受け取ることができる理由は、生命保険金は、亡くなった人の財産でなく、保険の受取人の財産として扱われるからです。
▼生命保険契約の具体例
契約者:夫(死亡)
被保険者:夫(死亡)
受取人:妻
以上の契約の場合、夫が亡くなったことで発生する生命保険金は夫の遺産ではなく、妻の固有資産という扱いになります。
相続の定義は、故人の資産を譲り受けること。一方で生命保険金は妻の固有資産なので相続放棄をしたとしても受け取ることができる、という仕組みになっています。
もし亡くなった生命保険の契約者(この場合は夫)に借金がある状況であったとしても、妻が相続放棄をすれば、その負の財産(借金)を抱えずに生命保険金だけを受け取ることが可能ですし、受け取った保険金を夫の借金の返済にあてる必要もありません。
生命保険金に込められた想い
生命保険はそもそも、
「万が一のことがあっても、遺された人に安心して生活してほしい、苦労をかけたくない。」
という想いから作られた制度です。
このような想いから、故人に借金などがあったとしても、遺された人たちが不安なく生活ができるよう、保険金を受け取ることができる仕組みができたとされています。
相続放棄をしても、生命保険金を受け取るには条件がある
ポイント:生命保険金の受取人がご自身になっていることが条件
先ほど、生命保険金は受け取る人の資産として扱われると説明しましたが、この生命保険金を受け取る人が、あなたご自身ではなく、亡くなられた契約者本人であった場合どうなるのでしょう。
結論は、相続放棄をしてしまうと、生命保険金を受け取ることができません。
▼生命保険契約の具体例
契約者:夫(死亡)
被保険者:夫(死亡)
受取人:夫(死亡)
このように、夫が契約者、被保険者、受取人に設定されていると、夫が死亡したことによって支払われる保険金は夫の財産として扱われるため、相続の対象になります。よって相続放棄をした場合、受け取ることができなくなってしまいます。
相続発生前の方は生命保険の契約をしっかり確認して、「契約者」「被保険者」「受取人」それぞれが誰に設定されているかを把握しておきましょう。
注意点!!
被相続人(この場合夫)が「入院保険等の医療保険金」を生前に受取る予定だった場合、受取人は夫なので扱いは相続財産となります。そのため相続放棄をすると受け取ることができません。
この記事では生命保険を死亡保険や終身保険として話をしていますが、細かい意味では医療保険なども含まれるので、混同しないようご注意ください。
医療保険金のように故人が受取人になっている保険金は「相続財産」として扱われるので相続放棄をすると受け取れないのです。
相続放棄はどんなときにすれば良いの?
相続放棄とは
ポイント:相続放棄は「法的手続き」 財産放棄は「個人間の取り決め」
相続放棄とは、「被相続人の負債(借金など)が多く、相続すると負担になる」「家業の経営安定を目的として、後継者だけに遺産を集中させる」といった目的から、相続をしないことです。
法的な手続きとして、相続人であることを本人が知った日から3ヵ月以内※に「限定承認」又は「相続放棄」のどちらかを選択する必要があります。
これをしなかった場合、相続人は単純承認とみなされます。
※家庭裁判所に期間の伸長(延長)を申し出ることで期間の延長が可能
相続放棄とよく間違われる言葉として「財産放棄(遺産放棄)」があります。
財産放棄とは
財産放棄とは、「相続人同士で話し合って決める手続き」のことを言います。
遺産分割協議という、相続財産をどう分配するか決める取り決めの際に「自分は相続の意思がないと表示」し、財産を放棄すると決めた取り決めを財産放棄と言います。
法的な強制力がなく、被相続人に債務があった場合、財産放棄をしても相続放棄をしていなければ、債権者からの請求は止まりません。
このように財産放棄はかなり曖昧な意味に捉えられることから、被相続人に債務があり、受け継ぐ意思がないのであれば、必ず財産放棄ではなく相続放棄をするようにしてください。
「私はお父さんの財産はいらないので、ほかの兄弟達ですべて相続してください」など、親族間にて口頭での取り決めには注意が必要。「裁判所に相続放棄手続きを申請してかったために、自動的に相続人になってしまっていた」なんてことも起こり得るので気をつけましょう。
相続放棄をするべき状況
ポイント:財産よりも借金が明らかに多い場合は相続放棄するべき<
相続放棄をするべき状況として最も代表的なものは「借金を相続してしまう」という状況です。
しかし、家のローンのように、借金も資産もどちらも相続ができる状況においては一概に相続放棄するべきとは言えません。
財産よりも借金のほうが明らかに多い場合は相続放棄をした方が良いでしょう。
そのほかにも相続放棄を検討するべき状況はあるので、以下の中で当てはまるものがあれば状況を整理しておくことをおすすめします。
相続放棄を検討しても良い状況
・被相続人が借金の連帯保証人である
・家業を特定の相続人に引き継がせたい
・トラブルを避けたい
・生命保険金の受取がある
相続放棄があった場合の生命保険金の受取にかかる相続税
生命保険の非課税枠
ポイント:相続放棄した人は、生命保険の非課税枠は利用できない
生命保険金は相続税対策にもよく利用され、その理由が「生命保険には相続税における非課税枠がある(非課税枠=500万円×法定相続人の数)」ということです。
しかし、この非課税枠は法定相続人のみが利用でき、相続放棄をすると法定相続人ではなくなってしまうため、この非課税枠が利用できないのです。
しかし少々複雑なのですが、「相続放棄した人間は法定相続人から外れるため非課税枠が利用できないが、非課税枠の頭数として数えられる」ということです。
▼具体例 ※生命保険の非課税枠のみを考慮しています。
法定相続人:妻/子A/子B/子C
法定相続割合:妻1/2/子A1/6/子B1/6/子C1/6
生命保険金:3,000万円
保険金分配
妻:1,500万円
子A:500万円 ←相続放棄
子B:500万円
子C:500万円
この場合、それぞれが使用できる非課税枠を考えてみましょう。
①生命保険の非課税枠を求めます。
500万円×法定相続人(放棄した子Aも含める)=2,000万円
②妻、子B、子Cだけで受取比率を求めます。
妻:子B:子C=3:1:1
③比率にもとづいて、控除額を分配します。
妻:1,200万円
子B:400万円
子C:400万円
④受取額から、控除額を引いた分が課税対象になります。
妻:1,500万円-1,200万円=300万円
子A:500万円-0円=500万円
子B:500万円-400万円=100万円
子C:500万円-400万円=100万円
相続放棄した子Aは500万円が全て課税対象となりますが、ほかの家族は非課税枠を子Aの分も使用できるので、課税対象金額が非常に少なくなります。
相続税率は最低でも10%かかるので、支払わなければいけない相続税は子Aと子B・Cとで40万円以上もの差が出る可能性があるのです。
相続放棄をしても生命保険金を受取ることは可能ですが、課税対象金額も増えるので特に理由がなければ相続放棄はせずに保険金を受取る方が賢明かもしれません。
相続税の基礎控除
ポイント:基礎控除は相続を放棄しても利用できる
相続税には基礎控除という、「この金額までは相続税がかかりませんよ」という金額設定があります。
基礎控除は相続放棄をしても、利用することができます。
基礎控除=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
相続放棄をして生命保険を受取る際にもこの控除金額が適応されます。
▼具体例
法定相続人:妻/子A/子B/子C
基礎控除額=3,000万円+(600万円×4)=5,400万円
この5,400万円を相続人である4名が受取る金額に応じて分配します。
相続放棄をして生命保険を受取った場合でもこの控除額を利用することができるので、先ほどの例を用いると、
子Aが利用できる控除額は、
5,400万円÷6=900万円
となります。
▽相続税の詳しい計算方法はこちらから
相続放棄ができるケースとできないケース
相続放棄ができるケース
ポイント:相続放棄期限の3カ月以内なら相続放棄ができる
相続放棄ができるのは、3カ月以内と期限が設定されています。
正確な期限は、「相続が発生したと分かってから、3カ月以内」と決められているので、相続放棄をするのであればこの期間内に行いましょう。
相続放棄ができないケース
ポイント:「期限を過ぎた」「遺産を処分した」「財産の隠蔽」のいずれかが発生した場合、相続の放棄ができなくなる。
期限を過ぎた
相続ができるケースで説明した、3カ月の期間が過ぎてしまうと、原則として相続放棄ができなくなります。
やむを得ない事情などがある際は、家庭裁判所に期間の延長を申し立てしましょう。
遺産を処分した
ここでいう「処分」とはつまり、価値のある物を売却することや、財産に関係する契約を締結または解除するなどの行為を指します。
ここで気をつけなければいけないのが、遺産の処分に債務の返済が含まれていると言うことです。もし少しでも返済をしてしまったら相続放棄が行えなくなりますので、万が一、返済の要求があっても決して応じず、債務者が亡くなったことだけを伝えましょう。
財産の隠蔽
これは明らかな違法行為であるため、あえて説明をする必要もありませんが、不動産などのプラスの財産だけを隠し、遺産には借金しかないように見せかけて相続放棄を行うことによって、プラスの財産だけを不正に引き継ぐことを防止するためです。
もし、これらの理由で相続放棄が認められなかった場合は、単純承認とみなされることになります。
まとめ
今回は、相続の放棄をメインに生命保険金の扱いなどを紹介してきましたがいかがでしたでしょうか。
相続放棄をしても生命保険は受けとることができますので、生命保険の契約をきちんと締結させておきましょう。
相続放棄を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

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